学社連携・融合会議では、各学校や公民館等における学社連携・融合事業のさらなる推進を目的として、「学 社連携・融合通信」を発行しております。
第7号は、平成19年度事業の実施報告及び10月に開催いたしました、「青少年教育研究発表会」の内容等を 掲載いたします。
◇ 平成19年度実施事業について
実施事業数は、小学校が1,043件(前年度比68件増)、中学校が343件(前年度比29件増)となっており、小 中学校とも、教科別では「総合的な学習の時間」、連携融合先別では「地区団体」、取り組み形態別では「講師型」が 多い状況です。
第7号 平成
20
年
12
月
発 行 いわき市学社連携・融合会
議
音楽以下については、体育15件、理科14件、 書写13件、地域行事12件、学年行事11件と続 く。
PTA行事以下については、地域行事、保健体育各 5件、学級活動が4件で続く。
前年度と比較して、地区団体が31件、講師が 26件、行政団体が13件増えている。
◇
平成
19
年度主な実施例
○ 湯本第一小学校 (全学年) 〔総合的な学習の時間及び音楽〕 <雨情さんの歌に親しもう>
・ 児童と地域の童謡サークル(公民館サークル)“すずめの学校”の方々が 湯本ゆかりの野口雨情を対象とした学習成果をもとに共同学習(児童による 総合学習の発表、歌の交歓、全員合唱等)を継続的に進めることにより、児
童とサークルの方々の交流が深まるとともに、双方にとって、地域を見つめ直し、地域文化への思いを新たに する場となっている。
○ 中央台東小学校(全学年)〔総合的な学習の時間〕 <エネルギー学習>
エネルギー学習のための環境に恵まれた学校(屋上のソーラーパネ ル・雨水利用システム・充実した近隣施設)であり、「感じ・考え・ 行動するエネルギー学習」をテーマとして、持続可能な社会の構築を めざし、エネルギー・環境問題の解決に向けて適切に判断し行動でき
る人間の育成を図っている。専門的知識を持つ地域人材や電力会社・大学・民間企業・県・市の施設等と連携 し、学習活動の企画・運営に助言・支援をいただきながら、施設見学や出前講座型の学習を進めている。 (二酸化炭素実験、風力発電体験、燃料電池車体験など)
○ 小名浜第二中学校(全学年)〔総合的な学習の時間〕 <地域交流事業>
総合的な学習の時間に、「幼児と遊ぼう」、「地域の方やお年寄りと活動しよう」、「地域の方やお年寄りから 学ぼう」、「環境を良くしよう」、「学習活動の発表」などいくつかのグループに分かれ、全学年全生徒が様々な 体験、活動を行った。「地域の方やお年寄りと活動しよう」では、生徒は地区の老人会や地域の方々と一緒に、 郷土料理の調理実習、昔遊び、ゲートボール、将棋などをし、「地域の方やお年寄りから学ぼう」では、茶道、折 り紙、ベンチ製作などを学習した。活動を通して、高齢者から様々なことを学ぶとともに、また、高齢者に対す る思いやり、あいさつの大切さなど「心豊かな生徒」への成長につながる活動となった。高齢者にとっても、学
前年度と比較して、講師型が47件、共同学習型
校や生徒を知る機会となるとともに、熟練した技術等を伝授する機会となった。
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事業の成果と課題について(平成
19
年度事業実施報告書から)
成 果 課 題
児 童 ・ 生 徒
① 福祉や進路の考えを深められ、将来の生き方を 真剣に考える態度が育った。
② 地域の人々との交流によって、児童の視野が広 がり、調べ学習に深まりが見られた。
③ 地域の方の豊かな体験や教えをいただき、学習 の深みが増し、地域に愛着を持つ一層の機会とな った。
④ 地域人材の専門的な知識や技能に触れて、生徒 の学習意欲や関心が高まった。
⑤ 教職員とは違う視点から指摘をいただき、生徒 の刺激となった。
1 事前指導を徹底しないと、行事に流されるだけ の参加になりがちである。
② イベント的なものから、継続的なものへの発展 が必要である。
③ 児童は、体験活動をするだけでなく、それを文章 化したり、写真に記録したりする活動も必要であ る。
学 校
① 教師自身も体験活動を通して興味・関心を高め、 地域の方々とのよりよい関係を築くことができた。 ② 各教科・道徳・総合的な学習の時間と体験をつ
なげた授業を意図的に実施することができるよう になった。
③ 昨年度から継続して連携を図ったり、新たな連 携・融合先を開拓したりすることで、指導計画や 学習過程の改善を図ることができた。
④ 事前打合せを担当者間で設定し、指導内容の共 通理解を図りながら実践するなかで、担当者との 交流が深まり、次年度へ向けた協力体制を確立す ることができた。
⑤ 地域に対して開かれた学校の実践を紹介する機 会を得ることができた。
⑥ 学校教育への地域の施設や人材を積極的に取り 入れることができた。
① 事前・事後指導を周到に行い、児童相互、児童と 指導者との人間関係や児童の自己管理意欲が高 められるよう配慮する。
② 教育課程への確実な位置付けと系統性を図る。 ③ 総合学習の時間ばかりでなく、多様な機会を通
し連携を図っていきたい。
④ 「連携・融合」のあり方についての校内研修が必 要である。
連 携 ・ 融 合 先
① 保護者の中にも、読み聞かせに取り組んでみよ うという動きが出た。
② 学校評議員などを中心に支援をいただきながら、 各種事業の実践を推進することができた。
③ 地域の自然や人を十分に生かした充実した教育 活動を積み重ねていくことにより、地域と一体と なって子どもを育てようという雰囲気が高まって きている。
④ 多くの保護者や地域の方々の参加も見られ、学 校と社会との連携・融合の中で保護者が加わりな がら進み始めている。
1 職場体験においては、事業所の確保、安全 対策などが今後の課題である。
2 連携できる内容について、情報交換を効率 的に行うことで、各事業所や団体等の取組み を十分に生かすことができる。
③ 地域人材の開発・活用・見直しを図るため に、人材リストや事業内容、連絡体制の整備 拡充を積極的に推進する必要がある。
※ 平成20年度の事業計画数 1,384件(小学校1,037件、中学校347件)
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青少年教育研究発表会
第20回全国生涯学習フェスティバルinいわきの開催に合せて、平成20年10月12日(日)にいわき市文化 センター大ホールにおいて、「青少年教育研究発表会」を開催いたしました。
はじめに、第13回ユネスコ作文コンクール最優秀者3名による発表の後、学社連携・融合事業の実践事例と して、湯本第一小学校と公民館サークル“すずめの学校”による「雨情さんの歌に親しもう」、中央台東小学校 より「エネルギー学習」について発表していただきました。
その後、学社連携・融合会議委員長であります、東日本国際大学教授 北見 正伸氏をコーディネーターと して、『学社連携・融合と子どもたちの「学び」』をテーマに小・中学生、学校関係者、地域の方、学識経験者をパ
ネリストにパネルディスカッションを行いました。
今回は、パネルディスカッションの主な発言内容を紹介いたします。
☆ 小学生代表 中央台東小学校6年 鈴木 葵さん
「私の友だちも、プロスポーツ選手、お医者さん、学校の先生などいろいろな夢を持っています。そのような
プロの方のお話を聞いたり、仕事をしているところを見せて頂いたりすることができたら、みんなで楽し い学習ができるだろうなあと考えています。」
☆ 中学生代表 小名浜第二中学校3年 山形 奈津江さん
「普段の授業の中でも、地域の方々と一緒に学習ができたら楽しい だろうなと感じました。」
☆ 学校関係者 湯本第一小学校教頭 久野 俊一先生
「活動する双方が、共に高まり、活動の意欲が共に高まるような学 習活動を展開していくことが、何よりも重要であると考えます。」
☆ 地域の方 すずめの学校 九頭見 淑子さん
☆ 地域の方 綴小学校学校支援委員 三室 千鶴子さん
「支援委員の立場は『やってあげる』の心ではなく、地域の未来を作る子どもたちの為に協力するというこ とです。」
☆ 学識経験者 小川公民館長 小泉 伯明先生
「地域教育を支える現実の地域組織や団体活動の実態や内容」を把握する努力(言わば「地域を知る」とい うこと)と、各団体や個人の学習活動を結集した「地域コミュニティ」を一層推進することが必要だと思いま す。
☆ 学識経験者 元小学校長 比佐 淳一先生
「単なる体験オンリーでとどまるのではなく、子どもたちの一生涯につながるよう、学びの広がり、深まり を一層生み出していただきたいと思います。」
☆ コーディネーター いわき市学社連携・融合会議委員長 東日本国際大学教授 北見 正伸 氏 更に学習の質の向上を展開するためのポイント(パネルディスカッションを通じて)
1 学校・地域における教育コーディネート能力を高める必要があること 2 学校と地域が一体となって教育内容を支援する組織化が必要なこと
3 「子どもたちの学び」を学校と地域が一体となって育むという教職員や地域社会の意識改革が必要で あること
「学社連携通信」に関するお問い合わせは、市学社連携会議事務局(生涯学習課)電話22-7543又
は、e-mail kyoiku-shogaigakushu@city.iwaki.fukushima.jp までお寄せ下さい。
「学社連携・融合通信」に関するお問い合わせは、市学社連携・融合会議事務局(生涯学習課)